クロッキーを描くコツ

◆---初級編---◆

 

<ポイントその1:線に強弱をつける>

 

モデルさんの人物の輪郭をなぞっていってしまったり、線に強弱がなければ、単調な人物になってしまいます。ロートレックや、ワイエスといった、巨匠たちのクロッキーやドローイングをみていただければわかるように、線に強弱がついています。線に抑揚をつけてみましょう。

 

 

 

<ポイントその2:陰影をとらえる>

 

筋肉や骨格の移り変わりなど、形が変わっているところは必ず影が出来ます。陰影をとらえることで立体感をつくりだすことができます。クロッキーでは特に、その陰影を速くとらえて影をつけて描くことで、立体感をつくりだせます。

 

 

<ポイントその3:人物の動勢(ムーブメント)をとらえる>

 

モデルさんにはあえてじっと動かずにポーズをとっていただいていますが、人物は本来動くものです。ギリシャ彫刻をイメージしていただくと分かるように、ギリシャ彫刻は特によく人物の動勢をとらえています。

 

クロッキーは描く時間が短いので、はやく描くポイントを選び出し、それをとらえて描いていくことが大切です。線の使い方次第で、人物の動勢(ムーブメント)や一瞬の緊張感を描きわけられます。

 

 

<ポイントその4:骨格をとらえる>

 

皮膚の下の筋肉と骨格をみつけて、しっかりと意識しながら描かないと、どこかしまりのない体型のクロッキーになりがちです。そうならないためには、骨格を正確にとらえて描くことが大切です。皮膚の下の筋肉と骨格を意識して描いてみてください。

 

 

 

↑ 大河原愛作品 *大河原愛さんが10代の頃美大受験のために描かれたデッサン

◆---上級編---◆

 <ポイントその1:デフォルメをする>

 

人体をアカデミックに、見えるままに描く表現手法を学ぶことも大切ですが、ある程度デッサン力が身についたら、デフォルメにも挑戦していきましょう。あえて意図的に体のフォルムを見えるままに正しく描かず、崩して描いたり、一部を誇張して描いたりする技法が「デフォルメ」です。

エゴン・シーレや、フランシス・ベーコンの作品などが良い例です。「デフォルメ」という技法を身につければ、個性的な作品をつくりあげていくことができます。ただし、良いデフォルメができるようになるには、相当なデッサン力が不可欠です。正確に描写するデッサン力も同時に鍛えていきましょう。

 

 

<ポイントその2:線に自分の感情を込める>

 

力強く激しい線というものをみたことがあると思います。また、か細く繊細な線もあれば、人を不安にさせるような震えた線など、様々な線があることからも分かるように、線には、感情を織り込むことができます。

自分の感情を線に置き換えてみましょう。線に自分の思いを込めることができれば、クロッキーで、見る人の心を打つ感動的な作品をつくることができます。

 

 

 

<ポイントその3:効果的な「省略」をする>

 

クロッキーは、デッサンと違い描く時間が短いので、細かな指の一本一本など、全てを描ききることはなかなかできません。どこを描くのか、またどこを省略するかの判断が絵の出来を決める大事なポイントでもあり、作家の腕の見せ所でもあります。ワイエスの人物クロッキーも、顔だけ描いて身体をぼかすなど、「省略」というテクニックを巧みに用いています。

 

 

 

<ポイントその4:クロッキーで自己表現をする>

 

クロッキーの描き方や表現に制約はありません。恐れずにいろんな画材や表現を試してみて、自分に一番合った画材と表現を見つけましょう。そして描いたクロッキーを、コラージュしてみたり、額に入れてみたりして「作品」にしていきましょう。作品をつくるという意識が、絵の質を高めます。また、絵を通して自分の思想や感情を表現する、自己表現するという意識で描き続けていくことも大切です。そうすることで、躍動感のある線や情緒豊かな線が生まれ、絵が生きてきます。

 

 

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ーー大河原 愛作成 ヌードデッサン講座資料より 文章の無断転用を禁ず。

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